ラ・ラ・ガーデン入口の交差点での信号待ちの際、一瞬親子が油断したスキを私は見逃さなかった。
彼らに気づかれないように体重をそっと左に傾けておいて、青になった瞬間に交差点を左斜めに進み、人ごみに紛れた。
彼らは気がつかなかったようで直進した。
駅に向かうメインストリートを我々は左、親子は右の歩道を歩き、東口から西口への抜け方を我々は駅の中を通り、親子はガード下を通った。我々のほうが近道だ。
このミスは親子にとっては致命的だ。これであっさり勝負はついた。
我々の勝利である。
西口のショッピングモール1Fにある二号店はあっけないほど、本当に空いていた。
Tシャツとジーンズの偉い人は、本当に偉い人だったようだ。
オーダーより先に、まずは席を取り(やっとイメージトレーニングの成果を発揮できた)、妻が食べてみたい豆花と仙草ゼリーの2種類を注文した。
サイズはM。やっと到着した親子も店内に入ってきたが、席には全然余裕があった。
先ほどまでの息詰まる攻防はなんだったのか?
しかし、勝利は勝利である。
暑い中をまだ列に並んでいるだろう1号店に残った人々には気の毒であるが、我々キム家の二名は店内の居心地の良い涼しい席に陣取り、勝利のスイーツに酔ったのであった。
戦いに火照った身体をクールダウンさせるシャリシャリの氷と、程よい甘さが身体と心に沁みた。
ありがとう赤羽!
埼玉県に赤羽があって本当に良かった。
赤羽がいつか名誉神奈川県になってもわたしたち埼玉県民は赤羽を永遠に忘れることはないであろう。(完)